アプリ開発では、「Webアプリで作るべきか」「ネイティブアプリで作るべきか」という判断が必要になります。
近年ではWeb技術でも高度なUIを実現できるようになり、PWA(Progressive Web App)なども登場しています。
そのため、単純に「ネイティブアプリのほうが優れている」というわけではありません。
重要なのは、ユーザーが求める価値を実現するために、どちらの技術が適しているか判断することです。
Webアプリとネイティブアプリを選択する際には、様々な点を考慮する必要がありますが、この記事では、主に実現できる機能の違いにフォーカスをあてて、2つの判断軸について整理します。
判断軸1:オフラインでも利用したいか
Webアプリとネイティブアプリの大きな違いの1つが、通信できない環境への対応です。
Webアプリの場合
Webアプリは基本的に、サーバーと通信しながら動作します。
ユーザー
↓
ブラウザ
↓
インターネット
↓
サーバー
例えば、データを登録する場合、
入力
↓
サーバーへ送信
↓
保存完了
という流れになります。
そのため、通信できない環境では利用できない、または利用できる機能が制限されることが多いです。
ネイティブアプリの場合
ネイティブアプリでは、端末内部にデータを保存できます。
例えば、
ユーザー入力
↓
端末内へ保存
↓
通信復旧後にサーバー同期
という設計が可能です。
そのため、
- 電波の届かない場所での作業
- 災害現場での利用
- 航空機内での利用
- 山間部での作業記録
など、通信が不安定な環境ではネイティブアプリが有利になります。
判断軸2:端末機能をバックグラウンドで利用したいか
スマートフォンには、
- GPS
- Bluetooth
- NFC
- カメラ
- 各種センサー
など、多くの端末機能があります。
Webアプリでも、ブラウザが提供するAPIを利用することで、一部の端末機能を利用できます。
例えば、
- カメラでQRコードを読み取る
- 現在位置を取得する
- NFCタグを読み取る
といった処理は、Webアプリでも実現できる場合があります。
しかし、Webアプリには大きな制約があります。
それは、ブラウザ上で実行される処理であるため、バックグラウンドで継続的に動作することが難しいことです。
Bluetoothを例に考える
例えば、温度センサーとBluetoothで通信するアプリを考えます。
ネイティブアプリの場合
アプリ起動
↓
Bluetooth接続
↓
アプリがバックグラウンドになる
↓
継続的にデータ取得
↓
サーバーへ送信
という設計が可能です。
例えば、
- ウェアラブル端末
- IoTセンサー
- 医療機器
などから継続的にデータを取得できます。
Webアプリの場合
ブラウザ起動
↓
Webページ表示
↓
Bluetooth接続
↓
データ取得
という処理は可能な場合があります。
しかし、
- Webページを閉じる
- ブラウザアプリを終了する
といった場合、処理を継続できない可能性があります。
そのため、
- 常時Bluetooth接続
- センサー監視
- 定期的なデータ取得
などが必要な場合は、ネイティブアプリが適しています。
Webアプリでもバックグラウンド処理が全くできないわけではない
WebアプリからAndroidのServiceやWorkManagerなど、OSが提供するバックグラウンド処理機構を直接利用することはできません。
Webアプリはあくまでブラウザが提供する実行環境上で動作するため、OSレベルの継続処理が必要な場合はネイティブアプリが必要になります。
一方で、WebアプリでもService Workerなどによって、一部のバックグラウンド処理は可能です。
ただし、Service Workerは常駐型の処理ではなく、通知や同期処理などイベント発生時に短時間起動する仕組みです。
そのため、AndroidのServiceやWorkManagerのような継続的なバックグラウンド処理には向いていません。
Webアプリとネイティブアプリの本質的な違い
Webアプリとネイティブアプリの違いは、単純に「どちらが高性能か」という話ではありません。
本質的には、
ネイティブアプリはOSの機能を利用しながら継続的に動作できる一方、Webアプリはブラウザという実行環境の制約を受ける
という違いがあります。
そのため、技術選定では以下のような観点で判断することが重要です。
- 通信できない環境でも利用する必要があるか
- データを端末内に保持する必要があるか
- GPSやBluetoothなどを継続的に利用する必要があるか
- アプリを閉じた状態でも処理を続ける必要があるか
まとめ
Webアプリは、ブラウザから利用できる手軽さや、開発・更新のしやすさが大きなメリットです。
一方で、オフライン対応や端末機能の継続利用など、デバイスそのものの機能を活用したい場合には制約があります。
ネイティブアプリは開発コストが高くなる一方で、OSが提供する機能を活用し、より深いユーザー体験を実現できます。
どちらの方が優れているという結論はないため、ユーザーが必要としている価値を理解し、その価値を実現するために最適な手段を選択することが重要だと考えています。